ニューヨーカー未満のNYスケッチブック

 写真家ねおゆうきのライフログ。NYの街、子育て、日々のこと。

一滴の役割(ウチの親子関係の危機を救った言葉)

一つ前のエントリー『場面緘黙症と生きる』で場面緘黙症の息子のことを初めて書いたところ、たくさんの方から温かいメッセージをいただき、とても励まされました。ありがとうございます。

こういう特徴を持って生きている子供を持つことの苦しさや不安。つい自分の心の中だけに抱え込みがちだったけれど、でも思い切ってそれをさらけ出すことで、同じ悩みを持つ方と思いを共有できたらいいなと思っています。戦っているのは自分ひとりでないと思えば随分救われます心が揺れる日も、それを受け止めてくれる友がいると知れば、落ち着きます。心が穏やかでなければ、我が子の「ありのまま」を受け入れるなんて、ムリですもんね。

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息子が掛かっている児童精神科の先生のおっしゃった言葉で、私の心に刻んでいる言葉があるので、今日は是非それをシェアしたいと思います。子育て中の方であれば、きっと皆に響く言葉だと思うので。

まずは、その言葉をいただくきっかけとなった背景なのですが...

1年くらい前のこと、家庭内でのあるできごとをきっかけに、うちの夫と息子の関係が悪化した時期がありました。ティーンエイジャーならではの反抗心と夫の短気さ・頑固さが事態を拗らせ、息子は自分の父親を避けるようになり、口もきかず、言いたいことは全て私を通そうとする。夫も頑にそれを許すまいとする。

息子がセラピーを受けている児童精神科の先生にそのことを相談すると、どんなセラピーを施すよりも、まずは二人の関係を改善することが先だと強調されました。確かに親子関係が良好でないと、ただでさえ情緒不安定な息子の心がますます不安定になり、その状態にいくらセラピーを実施しても効果は薄くなるであろうことは、私にも容易に想像できました。また、時間が経つと関係修復が尚さら難しくなるとの先生の言葉は、私には恐怖でした。家族なのに、こんなギスギスした状態がずっと続くなんて耐えられない!

関係改善のために夫がどのように息子と接するべきか、先生から聞いたことを私が夫に伝えるのですが、私の口から聞いたのでは夫も真剣に受け取ってくれない。やがて先生もそれに気づき、とにかく15分でいいから夫と直接話しをする時間を取ってくれとおっしゃる。仕事が抜けられないと言う夫を説得してなんとか設けたミーティングは、15分のつもりが1時間近くに及びました。

そこで言われたことのポイントは、とにかく語りかける、こと。たわいもないことでいい。たわいもないことのほうがいい。あれしたか?これしたか?と確認しない。遊びに誘う。TVを一緒に見るとかでなく、外に息子を連れ出して一緒に何かをする。.....言われていることは極めて単純なこと。

「でも、聞く耳を持とうともしないんです。」と夫。

「そう、無視するでしょうね。岩のように頑に心を閉ざしてしまっているんですね。でも続けてください。拒絶されても、諦めずに続けてください。岩に落ちる一滴の水は、何の変化も起こさないように見えるでしょう。でも一滴、また一滴と水が落ち続けたら、岩も形を変えていくでしょう。尖った岩も丸くなっていきますよ。

この言葉は、夫の心にも刺さったようです。それからは、彼も先生の指示通り、根気よく努力を続けてくれました。最初は手がつけられないほど頑だった息子の態度も次第に軟化して、今では、あのギスギス感は完全になくなり、1年後には、100%とまでは行かないまでも、ほぼ元の2人の関係にまで戻ることができたました。本当にあの言葉を添えてくれた先生に感謝するばかりです。

子育てしていると、親の根気とか忍耐力を試されているなあ、と思わずにはいられない状況に頻繁に遭遇しますよね。でも、日常のしつけであれ、なんであれ、良かれと思うことならば、スルーされても、変化がすぐに見えなくても、信念を持って諦めずに続けることって大事なんだなあ、と気づかせてくれた言葉でした。

小さな一滴は、決して無駄な一滴ではないってこと、みなさんにも、当てはまるような状況があったら、ぜひ思い出してみてくださいね。

 

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